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ヌックとは?住宅に居心地の良い空間を

「広い部屋もいいけれど、狭い場所はなんだか心が落ち着く……」「家から出たくないけど、一人で過ごせる場所がほしい……」という方におすすめなのが、「ヌック」です。ヌックとは、「こぢんまりとした居心地の良い空間」のこと。今回は日本で広まりつつあるヌックの取り入れ方について詳しく説明します。一人で過ごせる快適な空間、ヌックをマイホームに取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

  • ヌックとはどんな空間?

ヌックとは小ぢんまりとした快適な空間のこと。スコットランドの特徴的な建築様式「neuk(ヌーク)」が起源と言われています。もともとは朝食などをサッと済ませられるような家族専用のダイニングなど「あたたかくて心地の良い場所」を指す言葉でしたが、近年では「居心地の良いおこもり空間」としての意味合いが強くなっています。

 

個室のように分けられた空間でありながら、ドアなどの明確な仕切りを設けないのが一般的で、家族の気配を感じつつ過ごせるのが最大の魅力です。広さよりも快適さや居心地の良さを重視し、一人でお茶を飲んだり、読書をしたり、静かに瞑想したり……とさまざまな活用が可能。子どもたちの秘密基地として設けるケースもあります。

 

ヌックは、家族ならば誰でも使えるフレキシブルな空間。マイホームにヌックを設けると、個室とはまた違った居心地の良い場所ができるため、住み心地の良さも格段に上がるでしょう。

 

  • ヌックを作る際のポイント

ここではマイホームにヌックを作る際のポイントを3つ紹介します。

 

▼ヌックでの過ごし方を想像しておく

ヌックはどこにも属さない半居室的なスペースですが、使いづらいとただの物置と化してしまうことも……。まずは、自分や家族の趣味嗜好などを改めて確認し、ヌックでどのように過ごすかを考えておきましょう。

 

読書が好きならば小さな本棚を置くスペースを確保したり、一人で考え事をしたいのならば座り心地の良いソファやクッションを用意したり。ヌックでの過ごし方をある程度決めたうえで、設計するのがおすすめです。

 

▼空間を分ける工夫を

ヌックはドアなどできっちりとしたゾーニングをしない分、他の部分で差別化を図らなければなりません。天井を低くしてみたり、床を高くしてみたりなど、他の居室と高低差をつけると、一気に違う空間に。さらに床や壁の素材や色を変えるのも有効です。

 

▼居心地の良い空間に

ただヌックというスペースがあっても、そこの居心地が良くなければ誰も使いません。ヌックができたら、照明器具やインテリアなどで落ち着ける空間を目指しましょう。他の居室より暗く、あたたかみのある照明器具の設置がおすすめです。また、ヌックは狭いスペースのため、空気が滞留しがち。ヌックの場所によっては窓や空調機器を設置できないため、換気はお忘れなく。設計段階で空気の流れも検討しておきましょう。

 

  • ヌックを作るのにオススメの場所

近年注目されているヌックですが、どこに作るのが良いのでしょうか。ここからはヌックを作るのにおすすめの場所を3つ紹介します。

 

▼リビングの一角に

家の中でもっともパブリックなリビングですが、ヌックを設けると一味違った印象に。リビングにいる家族と空間を共有しつつ、プライベートな時間も楽しめる、まさに一石二鳥の間取りです。

 

リビングの一角に設けるヌックは、小上がりにして畳を敷くのもおすすめ。明確に区切られてはいないものの、緩やかに異なる空間の雰囲気を味わえます。また、子供たちの遊び場にもぴったり! 大人の目の届く範囲なので安心です。

 

▼階段下のデッドスペースに

階段下のデッドスペースは収納場所として考えがち。しかし、ここにヌックを作ると一気に過ごし方の選択肢が広がります。

 

仕事や勉強、読書のスペースとしても最適。天井が低いため、子供たちの秘密基地にもぴったりです。

 

なお設計の際は、立面図などでしっかり完成形を想像することが大切。どのようにヌックを使うかを考えつつ、設計を進めましょう。

 

▼太陽光の差し込む出窓に

外の景色を楽しんだり、ひなたぼっこをしたりと、ヌックでリラックスしたいなら窓辺に作るのがおすすめ! 日中には太陽光が、夜には月光が差し込むため、読書や考えごとなど、さまざまな用途に使えるスペースになります。

 

また、出窓をヌックにした場合、要件を満たせば床面積に入らないのもポイント。狭い敷地でも十分なヌックを設けられます。

 

  • ヌックを取り入れて生活にゆとりを

自分の部屋とは異なる、こぢんまりとして心地の良い空間「ヌック」。マイホームに取り入れれば、居室以外に一人の時間を楽しめるスペースが増えるため、家族全員のQOLの向上間違いなしです。ただし、ヌックを作る際は、設計段階からの検討が欠かせません。ぜひマイホームにヌックを作って、その居心地の良さを体感してみてください。

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